泣けた

昨日第三の時効を読み終わった。
犯罪者を追い詰めるためなら手段を選ばないF県警刑事部捜査一課強行班の男たち。
謎解きの面白さもさることながら、人間心理の描写が非常に細かくて引き込まれてしまいます。
強行班の刑事によって人間の心の奥の汚い部分が一枚一枚はがされていくむき出しになっていく様子はサディスティックでさえあります。
だけど、他の横山作品にも見られるような「それでも人間って捨てたもんじゃない」と思わせる何かがこの作品にもありました(他のに比べるとかなり薄いけど)。
で、泣けたのは、今日買った同じ横山秀夫の「出口のない海」です。これは警察官も新聞記者も犯罪者も出てこない異色の作品で、太平洋戦争末期に人間魚雷「回天」に乗り込むことになった若者たちの物語です。
この作品も心理描写がきめ細やかで最初の何ページかで物語に引き込まれてしまいました。
学徒動員、失われた青春、仲間の死・・・決してお涙頂戴の美談ではなく、かといって大上段から反戦を訴えているのでもなく、当時の若者の日常や心理が淡々と、丁寧に書き綴られています。